小説 吸血鬼に天国はない 感想

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著者 周藤 蓮

電撃文庫

私はラノベは読まない方だったのですが (ラノベ原作のアニメは結構見る)

周藤連氏のデビュー作である「賭博師は祈らない」全5巻が非常に面白かったので

新シリーズということで購入して読みました

なおこの感想記事はネタバレには全く配慮しておりません

本編の核心にまで触れる内容ですので 0から楽しみたい人は読まないことをおすすめします

大戦と禁酒法によって旧来の道徳が崩れ去った時代

非合法の運び屋 シーモア・ロードのもとに持ち込まれた荷物は人の血を吸って

生きる怪物 吸血鬼の少女ルーミーとの出会いから始まる

人と人ならざるものの恋の物語

かなりおおざっぱにストーリーを割ってることや 私の解釈も含まれます

吸血鬼の少女 ルーミー・スパイク

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非合法の運び屋 シーモア・ロード

「どこまで いきます?それともいつまでいきます?」

彼は運び屋として聞くのは その二つだけだった

荷物に関しては関心も検索もしない シーモアはそういう男だった

 

そんなある日シーモアに新しい仕事が入る 

依頼人の男は シーモアと同い年ぐらいだろうと思われる少女をつれていました

シーモアは検索せず少女を車に乗せた 少女はルーミー・スパイクと名乗り

何気ない会話が始まります

そんな時 なんとマフィアからの追っ手がきました

動揺するルーミーですが なんでも彼女は追われてるらしい

シーモアは慌てず カーテクニックでマフィアを巻きました

文章でカーチェイスを書くというのは難しいと思われますが

著者はこの辺をわかりやすく書いてました

無事目的地についた2人は気持ちよく分かれます

シーモアさん またいつか!」

本の数分の出会いでしたが ルーミーはシーモアに少なくとも

好意を抱いたようですね

しかし その瞬間

ルーミーを送り届ける家が爆破され ルーミーはマフィアらしき男に脳天を撃たれてしまいました

残されたのは茫然とたちつくす シーモアと少女の遺体

いくら会ったばかりとは言え ついさっきまで会話までしていた少女があっさり殺ろされては 誰でも頭が真っ白になりますよね・・

ここは危険だとシーモアは何を思ったのかルーミーの死体を車に乗せて逃げます

 

しかしこれまたとんでもないことが起こります

顔に穴があいてるはずの彼女が喋りだしたのです

「だいじょう ぶ です わたしは 吸血鬼 ですから・・」

ルーミーとの生活が始まる

吸血鬼と名乗る少女に半信半疑のシーモアでしたが

人間は脳がはみ出せば普通即死だし 再生なんてしないので

これは信じるしかないでしょう

ルーミーによると「母」も吸血鬼だったらしいのですが突然いなくなり

昨日の晩の依頼は「おじさん」の所へ送ってもらえるはずだったのこと

何を思ったのかシーモアは ルーミーを「安全な所」につれていくまで

一緒に暮らすことにしました

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サニー・ロード

シーモアは1回ルーミーを実家に連れていきました

なんでもルーミーの衣服を探しに来たそうです

待っていたのは シーモア実妹のサニーでした

サニーはルーミーに興味深々です 兄が男をつれてくればこうなるか

私としてはサニーの方が可愛いと思うのですが

どうやら衣服はサニーのおさがりを使うそうです

ルーミーの方が年上なのにおさがりって言うのは変な気もするが

 

2度目のカーチェイス

ルーミーとの生活が始まり 次第に2人は心惹かれていくようになります

そんあある日 ルーミーはシーモアの仕事の手伝いをするようになりました

とはいえ吸血鬼なので夜の仕事のみになりますが

ある仕事の途中またしても マフィアに追われます

すいませんどうもこの辺のくだりがよくわからなかったのですが

「吸血鬼は流水を渡れない」という性質によって助かったようです

このあと ルーミーとシーモアは大笑い

 

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フランシーナー ホーンズビー

タバコ屋の店番にして街の裏側に精通する情報屋

相性 フラン 

シーモアのことは「お兄ちゃん」と呼ぶ

あんなかわいい妹がいて こんな妹分がいるなんて

なんてけしからん

しかし彼女は年齢こそサニーより年下らしいのですが

裏社会で生きてきたのか達観した感性をもっていました

「天国は行く場所ですが 地獄は落ちる場所だという話ですよ」

「人は自ら地獄へ歩むことなんてありません だから悪行に対する報いである地獄は落ちる場所なんですよ」

うーむこんなセリフが言えるとは幼いながら すごい少女ですよね

衝撃の真実へ

ある日シーモアが新聞を読むと ある男が殺害されたニュースが載っていました

その男はなんと ルーミーを運ぶよう依頼した男でした

男はアイザック ネイグル マフィアの幹部で若い頃は武闘派だったらしい

しかし問題はそんなことでなく 写真に写っていたのはあの爆破された家

それはアイザックの家だったのですが

シーモアはここから 様々な推測をしある仮説にたどり着きます

 

ルーミーはアイザックを殺すために シーモアを利用していたこと

シーモアとルーミーとの出会いから今にいまにいたる過程まで全てしくまれていた

ことだったのだったのです

ルーミーは人を人と思わない正真正銘の怪物だった

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ついさっきまで普通の少女だったのに もうそこにいるのは吸血鬼という怪物

しかしいつもと明るい態度のルーミーに 直談判もできず(もしかしたら殺されるかもしれないですからね)

あの怪物はなんのか シーモアの精神は徐々に追い詰められていきました

されに追い打ちをかけるようにルーミーの「雇い主」まで出てきました

 

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マフィアを殺すマフィア マーダーインク社長 クラウディア

彼女がルーミーの裏にいた 組織のボスらしいです

ルーミーを「便利な道具」といい 色々意味深げなことを言って 去りました

ここで黒幕がすぐ出てくるのは驚いたのですが クラウディアのことは色々わからないままでした 彼女によると世界に復讐したいだとか

 

心境の変化

疑惑がついに確信に変わり シーモアは爆弾で ルーミーを殺すことを決意しました

しかしそこにシーモアは学生時代の先輩と再会します

先輩は昔恋人がいましたが 今はちゃっかり別の女性と結婚してしていました

それは本人も奥さんも気にしていなかったようででした

その後何を思ったのか シーモアは爆弾ではなく「ペンキ」を買ったのです

 

家に帰った後シーモアはルーミーにペンキを巻いてほしいと頼みます

「君がペンキを巻いてよ ルーミー・スパイク 何もかも塗り替えよう」

ルーミーは長い沈黙の後 「いいですね そうしましょう」

ペンキを爽快にバラまきました

どうしようもなく愉快で二人は笑いあっていました

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「どうするんですか?もう家中びっちゃびちゃですよ」

「いいんじゃない?お似合いの不細工だよ」

「ばーか 不細工は あなただけ」

シーモアの心境の変化は正直わかりずらかったのですが 昔の恋人を捨て

結婚している先輩を見て 価値観に意味はないと思ったのかとしれませんね

 

二人で生きていくために

ルーミーはあっさりとマーダーインクから見限られます

シーモアとルーミーはなんとか危機を乗り越えました

しかし 組織に見限れたのであればルーミーは今度こそ居場所はありません

ルーミーはシーモアに付いてきてくれないかと楽しますが

君は一人で生きていけるはずだと1回断るのですが・・

なんとルーミーは泣きだして

シーモアの腹を手で突き破ったのです

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「あ、あなたがいなければ、私は、私は怪物でいられたのに! あなたが私を人間を教えてしまったのに!」

あの日々は嘘だったけど嘘ではなかった 彼女は人間と結んでしまった

もう怪物というだけではいられなくなってしまった

ルーミーは自分を殺して シーモア自分に殺されてほしいと懇願します

その時シーモアの答えはどちらもやめにすること

「ルーミー 一緒に生きよう 君が好きだ」

本当に意味で一緒に生きていくことになった シーモアとルーミー

気絶する寸前にみたシーモアが最後に見たのではルーミーの微笑みでした

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総評

結論から言うと面白かったです 序盤は色んな意味で「お約束」展開ですが

後半のどんでん返しは 「なんか読むのやめようかな」と思っていた矢先の展開でしかたからね 

ルーミーはこれから殺人はしないと約束しましたが 吸血鬼である以上血はどうするのかきになりますけど ルーミーの罪を一緒に背負って生きていくことを決めた

シーモアもよかったですね

上でも書きましたが 車によるアクションを文章で書くのは大変だった思います

正直言うと自分はちょっと理解しずらい表現もあったのですが

文章ながらスピード感があると伝わってきました

ヒロインルーミー は終盤まで本音をださなかったため

ただの少女だったのに すぐに吸血鬼というホラー感を出してきた構成は見事です

しかし彼女もシーモアとの生活に変わっていったということでしょう

この二人がマフィアやマーダーインク 吸血鬼という様々な問題にどう立ち向かって

生きていくか非常に楽しみにしています

個人的にフランが好きなキャラクターになりましね

あとサニーとは面識がないようで 会ってほしいなと思っています

 

というわけでラノベの感想を書いたのは初めてですが 楽しかったです

読んでくれてありがとうございました